
先日、老人介護施設に入所している父を連れて、実家の片づけをするために帰りました。
これまでも少しずつ整理してきたつもりでしたが、改めて実家を見渡してみると、まだまだたくさんの物があります。
その時、私はあらためて思いました。
「日々の整理収納って、本当に大切なんだな」と。
今回は、長い間、両親の介護を経験してきた私が感じた「高齢者にとっての整理収納の大切さ」についてお話ししたいと思います。
人生100年時代だからこそ、今からできること
医学の進歩や発展によって、今では「人生100年時代」と言われるようになりました。
「長生きできるって、うれしいことだな」と思う一方で、長生きするということは、老後の時間も長くなるということです。
だからこそ、元気に動けるうちに、これからの生活について考えておくことが大切なのではないでしょうか。
頭や身体がしっかりしているうちに、少しずつ身の回りの環境を整えておく。
それは、将来の安心にも、心の安心にもつながっていくと思います。
高齢者にとって整理収納が大切な理由
高齢になると、身体の動きが以前とは変わったり、物を探すことが増えたり、薬の管理が必要になったりすることがあります。
整理収納をすることで、
・安心・安全・快適な生活につながる
・転倒やケガの予防になる
・探し物を減らせる
・心が落ち着きやすくなる
・家族の負担を減らせる
・生活の中で頭を使う機会を保つ工夫になる
・生前整理につながる
・薬や大切な物を管理しやすくなる
など、さまざまなメリットがあります。
もちろん、これだけではありません。
私自身が両親の介護を経験したからこそ、「もっと早くから少しずつ整理しておけばよかった」と感じることがたくさんあります。
私の両親の介護生活
私の父は脳梗塞を患い、左半身に麻痺が残りました。
そして、父を介護していた母も、ある時から認知症になりました。
両親は二人暮らしで、デイサービスやホームヘルパーを利用しながら、足りない部分を私が補っていました。
当時の私は、小さな子どもを3人育てながらフルタイムで働いていました。
仕事が終わると子どもを迎えに行き、そのまま実家へ行って夕飯を作る。
そんな毎日を過ごしていました。
だんだんと自分の生活が回らなくなり、職場にも迷惑をかけるようになってしまいました。
そして、仕方なく仕事を退職し、専業主婦として両親の介護をすることになりました。
物でいっぱいになっていた実家
両親の家は、母の「物を集める習慣」もあり、たくさんの物であふれていました。
一方、貧しい家庭で育った父は、物をなかなか捨てられない人でした。
私は実家に行くたびに、物の多い部屋を掃除したり、食事を作ったりすることが大変で、
「少しずつでも物を減らしていきたい」と思っていました。
でも、簡単には片づけられませんでした。
母は、自分の物がなくなると探し回ります。
そして、私が不要品をまとめておいた不燃ごみの袋を、父が悲しそうに見つめている姿を見ると、それ以上片づけることができませんでした。
「これは必要ないから捨てよう」と、私が勝手に決めることはできなかったのです。
父の涙から気づいた、整理収納の大切さ
両親の介護を5年ほど続けていたある日、母の意識がなくなり、救急搬送されました。
それ以来、母は自宅に戻ることができなくなり、現在も病院で入院しています。
難病も併発し、今後も自宅で生活することは難しい状態になりました。
そして、それをきっかけに、転倒のリスクが高かった父も一人暮らしが難しくなり、高齢者施設に入所することになりました。
今回、父を実家に連れて帰った時、父は家の中を見ながら、
「こんなに物がいっぱいでごめんな。今まで少しずつでも片づけていたら、こんなことにならなかったのに……。迷惑ばかりかけて申し訳ない。苦労ばかりかけて……」と涙ぐんでいました。
その姿を見て、私は何も言えませんでした。
本当なら、
「自分たちの物は自分たちで何とかしてほしかった」 「私だって自分の家庭があって、毎日いっぱいいっぱいだった」
そんな気持ちを言いたくなることもあります。
でも、自分の病気やこれからの生活への不安を抱えている父に、そんな言葉をぶつけることはできませんでした。
片づけをして見つかった大切な思い出
今回、父と一緒に実家を片づけているとき、とても嬉しい出来事がありました。
父が押し入れの中から、自分が大切にしていた日記帳と思い出のアルバムを見つけたのです。
そして、それを大切そうに抱えて施設へ持って帰りました。
その姿を見て、私は思いました。
「整理収納って、物を減らすだけじゃないんだ」と。
整理したからこそ、押し入れの奥に眠っていた父の大切な思い出を見つけることができました。
そして、その思い出が今の父にとって、とても大切な宝物になったのです。
「捨てる」だけではない整理収納
私はこれから、整理収納アドバイザーとして高齢者のお宅を訪問する時、「必要な物」と「不要な物」を分けて、ただ物を減らすだけではなく、その人にとって大切な物は何なのかを一緒に考えていきたいと思っています。
転倒を防ぐために物を減らすこと。
探し物をしなくて済むように収納を工夫すること。
薬や大切な書類を分かりやすくすること。
これらはもちろん大切です。
でも、大切な思い出の品を見つけた時には、それをしまい込むのではなく、本人がいつでも見ることができ、手に取ることができる場所に置く。
そんな工夫も大切なのではないかと思います。
大切な思い出に囲まれて暮らす
年齢を重ねると、以前のように自由に外出することが難しくなったり、孤独を感じたりすることもあると思います。
そんな時、自分が大切にしてきた物や、思い出の写真、日記などが身近にあることは、心の支えになるのではないでしょうか。
物を減らして、すっきり暮らすことも大切。
でも、「その人にとって大切な物を残すこと」も、整理収納の大切な役割。
今回、父と一緒に片づけをした経験通して、私はそう感じました。
これからは、ただ「物を減らす」のではなく、
安全に暮らせること。
心が落ち着くこと。
自分らしく暮らせること。
そして、大切な思い出をいつでも感じられること。
そんな整理収納のお手伝いができるようになりたいと思っています。
これからも、私自身の経験を通して、皆さんがこれからの人生や暮らしについて考えるきっかけになるような発信をしていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
あわせて読んでいただきたいお話
父の脳梗塞、母の認知症。
両親の介護を経験する中で、私自身もたくさん悩み、さまざまなことを学んできました。
そんな私の介護経験について、こちらのお話に綴っています。


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